高野山真言宗 清瀧山 金剛宝戒寺

令和3年10月1日発行 第91号

檀信徒の皆さま、こんにちは。
秋は朝焼けが綺麗な季節でもあります。
お彼岸のお中日には太陽が真東から登り、
爽やかな風が大師号の御旗をなびかせながら本堂に吹き込み、
境内では曼珠沙華が姿勢よく揺れていました。

 

「何も焦る必要はない、全ては整っている」

 

と諭されている様で、お彼岸に浄土を見た気がいたしました。
コロナ禍で全てが停滞している雰囲気になりがちですが、
彼岸花の様に上を向いて過ごしていこうと思わされました。

向上心と欲望

向上心とは数多く存在する霊長類の中でも
人間にだけ与えられた特権だと思います。

 

越冬の為に蜂が蜜を蓄え、
冬眠の為にクマなども餌を食べこみますが
人間の様に際限なく貪ることをしないのは、
満腹のライオンが目の前の動物を襲わない事からも分かります。

 

人間の進化は向上心と共に歩んできたものの、
逆の言い方をすれば絶えず悩みを抱えながら生きてきた原因とも言えます。

 

お釈迦さまが欲望を棄てる様に説かれたのも、当にこの為です。
そして欲望と向上心の垣根を見極めるのも難しいところで、
その事について頭を悩ませては本末転倒でもあります。

天人五衰

六道輪廻の最上界は天界です。
そこに住む天人たちは寿命五百年とも
数千年とも言われる時間を我が世の春と思い過ごすのですが、
「天人五衰」の訪れに自分達も諸行無常から逃れない事に気がつきます。

 

五衰とは
@羽衣が汚れてくること。
A頭上の花がしぼむこと。
B身体が臭くなること。
C脇の下に汗をかくこと。
D自分の居場所が楽しくなくなること。

 

と言われています。
当に有頂天から奈落の底へ落される心境です。
また悩み苦しみの無い世界での生活には精進もないために、
悟りへの世界(彼岸)には遠いとも言われています。

感謝と謙虚さ

天人ほどでは無いものの私たちの寿命も伸びました。
一日に触れる情報量は江戸時代の人達と比べると
何十倍以上にもなり、飛行機や新幹線に乗り、
リモートでのやり取りは当時の人からは神業に見えるかもしれません。

 

便利になり合理的に生きる私たちが
有頂天の住人にならないために必要な事は

 

「感謝と謙虚さ」

 

ではないかと感じています。
多神教と言われる日本人の根底には
先祖への感謝と自然への崇拝の念があると思います。

 

今では非合理と思う人もいるかもしれませんが、
古来、日本人は山にも海にも川にも稲にも井戸にも
神々が宿っていると信じてきました。

 

そして収穫や季節の節目ごとには村々でお祭りし、
一族では先祖祭などを行ってきました。

 

この二年間ではお祭りなども中止になってしまっていますが、
私はこの形を起こす事の大切さをコロナ禍において痛感しています。
人が集い、笑い、感謝して美味しいものを食べる。

 

中には喧嘩神輿の様に一見、
危険に思える内容もありますが、
これも日頃のうっ憤を晴らすという意味においては
合理的で地域を浄化する役割があると聞いたこともあります。

 

私たちは頭で理解出来ていても
実際に身体を動かさなければ消化出来ないことがたくさんあります。

時間と場と形を作る

そして家ごとに出来る「感謝と謙虚さ」がお盆やお彼岸、
月参りなどの供養ではないかと思うのです。

 

節目にあえて場と時間を作り、
存在として、最も根源的な「命」を繋いで下さった先祖に

 

「感謝をする。お陰様を感じる。」

 

日常でも出来ていることかもしれませんが
「形」として表すことに無限の可能性があるように感じてなりません。
合理的でないことが決して非合理ではないと思うのです。

講習会のご案内

講習会のご案内です。
演題は変わりませんが違う内容の本をご紹介いたします。
9月末で緊急事態宣言が解除されますが、
場合によっては中止も考えられますので、
参加される方は事前に確認をお願い致します。

日時 11月8日(月曜日)14時より
演題 「良書に学ぶ」

編集後記

お寺のお檀家様の児玉コウメさんが
史上最高齢の一卵性双生児にギネス認定されました。
今は施設に入っておられますが、月参りでお会いすると、
いつも笑顔で温かくお迎えくださり口癖は
「ありがとう」でした。
やはり長生きの秘訣は明るく、
くよくよしない事の様です。
合掌

 

令和3年10月1日発行 第91号

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