高野山真言宗 清瀧山 金剛宝戒寺

平成29年11月1日発行 第44号

平成29年11月1日発行 第44号

檀信徒の皆さま、こんにちは。
十月の時候のご挨拶は「また雨ですね」「よく降りますね」でした。
先月は台風が二回も通過し徐々に気温も下がってまいりました。
皆さま風邪など引いてませんでしょうか。

10月の講習会

さて、十月の講習会では鍼灸師、梅木龍男さんに
「私の歩んだ道」と題してお話をして頂きました。
梅木さんは一歳半の時に麻疹に掛かり目が不自由になったそうです。
現在であればそこまで悪化することはないと思いますが
戦中戦後の栄養不足や医療の未発達から全盲になったそうです。
梅木さんの幼少期はお父様が人生の災難からアルコール依存症になり
大変辛い、怖い思いをしたとのことです。
その様な境遇の中、信心深いお母さまの躾により心身を鍛えられたそうです。
男尊女卑の時代でもあり、気の小さかったお父様は、お酒を飲むと家族に暴力や暴言を吐き
梅木さんは父親に対し憎しみを持ちながら成長しましたが
お父様のお葬式での弔辞や、現在に至るまでの長い時間を通して
父親とも自分の中では和解出来たと仰ってました。

 

また全盲の奥様との夫婦円満の秘訣は
お互いに趣味を共有し理解することが大切だと話しておられました。
「子はかすがい」とは言うものの、日々成長を続ける子育てにご苦労が多かった事は
お話を聞かなくても想像が出来ます。
「ミルクを作る、お風呂に入れる、オムツを替える、病院に連れて行く」
健常者の我々でも子育てをストレスと感じる事があるにも関わらず
その全てをこなすには大変な努力と根性が必要だったと推察されます。

 

ある雨の強い日に、子供さんをおんぶ紐で背負い
左手に傘を差し、右手に杖を持ち保育園に登園していた時は
とても周りの目が気になり、みじめさを感じていたそうです。
しかし歩きながら背中から伝わる子供さんの温もりに励まされ
「人は謙虚になって、恥をなめつくし、身を低くして生きる事が大切だ」と悟ったそうです。

 

他にも心を打つエピソードが沢山ありましたが
決して意固地にも、もちろん横柄にもならずに人生を歩んで来られたのが伝わって来ました。
そして自分の未来に対しては明るい希望を感じており、謙虚に前向きに生きていれば
きっと幸せな最期を迎えられると思うと仰っていたのが印象的でした。

 

般若心経の中では「眼・耳・鼻・舌・身・意」として表現される六根は
全て「無」であると説かれています。
また山伏姿のお坊さんが山林修行や、火渡りの法要をする時に
「懺悔、懺悔、六根清浄」と声を掛けている様子を聞いたことがあるかもしれません。
六根とは五感(見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる)と
「意識」を合わせた人間に備わっている六つの器官の事です。
これらの認識作用を修行(懺悔、反省)して綺麗にします。と言っているのが
「懺悔、懺悔、六根清浄」の意味です。

 

梅木さんのお話を伺っていると自分に備わっている六根は清浄だろうか
また本当の幸せを感じ取れているのか?と考えさせられました。
私のお知らせ不足から講習会の参加者は少なかったのが残念ではありましたが
とても大切なお話を聞くことができました。

12月の講習会のご案内

十二月の講習会は十月のお便りに書かせて頂いた
ガンとの闘病生活を送っている首藤康司さんにお話をお願いしています。
首藤さんは葛葉康司のペンネームを持つ小説家でもあります。

日時 十二月八日(金曜日)午後二時から
場所 金剛宝戒寺本堂に於いて
講義 「わたしと病」
講師 首藤康司さん

生老病死は誰もが避ける事の出来ない事実でありながら
私たちは普段の生活において目を背けてしまいがちです。
首藤さんは先月紹介をした以上に深い信念を持って人生の選択をされています。
きっと我々にも新たな考え方を示唆してくれると思います。

トップへ戻る