高野山真言宗 清瀧山 金剛宝戒寺

平成30年5月1日発行 第50号

檀信徒の皆さま、こんにちは。
俳句の季語に「山笑う」という言葉があるそうです。
春の草花が一気に芽吹き、草木が衣替えを終えようとしています。

4月の講習会

四月の講習会はお釈迦様のお誕生日でしたので
私が「六波羅蜜行のススメ」と題してお話をさせて頂きました。

 

我々仏教徒の最終的な目標は「覚る事」です。
しかしながら日本人にとって「覚る」とは何処か遠い存在の人で
山奥に暮らす仙人や聖人君子の様な感覚があるかもしれません。

 

私は「覚る」とは「人格の完成」と同じことで
「修行」とは「人格を磨く」ことと考えています。
六波羅蜜行は別名で「六度」とも呼ばれ
菩薩が覚るために行う六つの修行の事です。

 

具体的には「布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧」の事です。
今回は「布施」についてお話をしました。

 

なぜ「布施」が修行になるのだろか?
と思われる方も居るかもしれません。
実は「布施」の反対が「貪り」だからです。

 

「貪り」は三毒という「貪瞋痴」(むさぼり・いかり・ぐち)の一つで
仏教において克服すべき最も根本的な煩悩だからです。

 

また布施というと金品や食事、衣服などを施す「財施」を
思い浮かべるかもしれませんが

 

他にも「法施」(釈迦の教えや知識を分かち合うこと)や
「無畏施」(おそれなき心をもたらす事)も布施になります。

 

また財を使わなくても出来るお布施に「無財の七施」があります。
具体的には眼施(優しいまなざし)
和顔施(笑顔で人と接する)
言辞施(心のこもった言葉遣い)
身施(労働奉仕)
心施(おもいやり)
床座施(席などを譲る事)
房舎施(家に人を泊めてあげる事)を紹介しました。

 

また「布施」を行う上で大切な事は
「三輪清浄」という「布施をした自分・布施をした相手・布施をしたモノ」の
三つに心を留めない事が大切です。
また布施の事を「喜捨」とも言うように進んで実行する事が理想です。

 

そして実際に布施をしてみると、分け与えているにも関わらず
結果的に多くの事を得ている事に気がつきます。

 

「陰徳あれば陽報あり」という言葉がある様に
多くの果報を与えられています。
決してそれを求めてする事では無いのですが
様々な幸せが身に付くことは紛れもない事実です。

 

また、その先には自分が一人では無い事
多くの人に支えられ「お蔭」を頂いている事に気づき
物事を委ねる心情、穏やかな心が養われていくことと思います。

 

文章にすると少し硬い感じもしますが
私の体験談や月忌でのお檀家さんの話
お経本からの説明などを交えながらお話をさせて頂きました。

 

お葬式などがあると、よく受ける質問がお布施についてですが
お布施はお寺にする行為ばかりでなく
普段の生活に密着した慈しみの心や
行いであることを意識してください。
一人ひとりの認識が、ここに密厳国土を創り上げることにつながると思います。

6月の講習会

さて六月の講習会は四月に続いて六波羅蜜の中の
「持戒」についてお話をさせて頂きます。
持戒の「戒」は金剛宝戒寺の「戒」でもあります。
時間のある方、是非お越し下さい。

日時 六月八日(金曜日)十四時から
場所 金剛宝戒寺本堂に於いて
講義 「六波羅蜜行のススメ(持戒)」
講師 当山住職

編集後記

朝晩と日中の気温差が大きく
木の芽立ちに心身が不安定になる方も多いです。
そんな時こそ自然に身体を委ね早寝早起きをしてみませんか?
日の出も早くなり早朝の空気はとても気持ちが良いです。
緑の多い上野丘では山鳥たちが
言葉を覚えたての子どもの様にさえずり語りかけてくれます。

 

早寝早起きが出来る事、少し冷たい空気に触れる事、健康であること。
全ての事に感謝と感動を与えられます。

 

「法施」をする中で分かち合っているつもりが
逆にお釈迦様からの教えが深まり
自分の中では増えている事を実感しています。
二千五百年以上も昔に説かれた真理が
グローバルな時代に必要とされています。 合掌

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