高野山真言宗 清瀧山 金剛宝戒寺

令和元年10月1日発行 第67号

檀信徒の皆さま、こんにちは。
時候の挨拶が被災者へのお見舞いと
なってしまうのが残念ですが、
関東地方を襲った台風十五号は
千葉県などに多大な爪痕を残しました。
これから先、人類愛だけでなく
自然への敬意を強く持たなければならないと
感じるこの頃です。

偉人に学ぶ

さて十月の講習会では「偉人に学ぶ」と
題して住職がお話をさせて頂きました。
今回取り上げた偉人は禅海和尚です。
ご存知の通り青の洞門を開削したことで
知られる曹洞宗の僧侶です。

 

10月24日に中津 耶馬渓の弘法寺さまで
行われる特別伝道大分大会に関連付けて
お話をさせて頂きました。

 

始めに紙芝居を使って、
そのあらすじをお伝えしたのですが
約300年もの昔の事で、
史実として分かっている事は少ないようです。

 

紙芝居の内容も菊池寛さんの
「恩讐の彼方に」を参考に書かれていました。
今回の講習会でお伝えをしたかったのは
「欲」についてです。

 

仏教イコール無欲(欲を棄てる)
と言ったイメージが皆さんの中にもあるかもしれません。
しかしながら密教では決して
欲イコール悪とはなりません。

 

長い人類の歴史を見ても欲を棄てる
という行為自体が不可能なのではないかと
私自身も思っています。

 

まず大切なのは欲をコントロールする事。
その時に大切な事が「足るを知る」
という事だと思います。
それは欲望(願い)の8割、9割で
満足をするという事ではなく、
既に私たちは多くの事、
モノに満たされている。

 

毎日の日常に感謝の目を向けることに
転換していく(気付く)事が欲望に振り回されない
コツであるとお話を致しました。

 

因みに感謝の反対は「当たり前」であり、
「当たり前」は不満の呼び水だと私は思っています。
また、欲を肯定的側面から考えた時に
「自利利他」となる大欲の大切さをお話致しました。
禅海和尚も江戸時代に槌とノミで
300メートルもの岩を開削できたのは
「滅私利他」の精神ではなく、
ひとノミひとノミ岩を崩していく行為が、
自分の犯してしまった罪を消していく「滅罪生善」となり、
自分自身が救われる感覚があったからこそ
30年もの工事を続ける事が出来たので、
そこに自利があるからこそ
大欲を成し遂げることが出来ると説明をいたしました。

 

月参りに伺っていると欲望の
大切さを感じる事が度々あります。
ケガをしたり病気をした時に
その回復の一番の後押しとなるのは
希望と欲望です。

 

身体の免疫力をあげるのも
大変なリハビリをこなすにも
「現状を克服したい」との思いが大切になります。
人生百年の時代だからこそ、
私利私欲ではなく、
清浄(すずやか)な大欲を持つことが
大切であると自分自身にも言い聞かせた
今回の講習会でした。

11月の講習会のご案内

人生百年の時代に抱えるもう一つの問題に
認知症があると思います。
月参りに伺っていると認知症に苦しむ
ご家族やご本人からお話を伺う事が有ります。
双方に現状を受け入れ難く、
ストレスなどが溜まりがちです。
今回お話をして頂く三浦恵子さんも
アルツハイマー型認知症のお父さまを
見おくった経験をお持ちです。

 

また認知症の人と家族の会の世話人として、
小学生から社会人まで多くの方に
認知症への理解を深めるための啓発活動をされています。
お父さまを看取った当時を振り返り、
その時の心境や今だからこそ
伝える事の出来るエピソード、
福祉や施設などについても語って頂きます。

日 時 11月8日(金曜日)14時から
場 所 金剛宝戒寺 本堂
演 題 認知症の家族を看取った私の経験
講 師 認知症の人と家族の会 
    大分県支部 世話人
    三浦 恵子さん

編集後記

外交の基本は国益ですから難しい所ですが、
ラグビーワールドカップやバレーボールを観戦していると、
すがすがしい気持ちになります。
それは日本人の活躍だけではなく、
相手を尊重する姿勢が
そこに垣間見えるからではないでしょうか。
競い合う相手があってこそ勝負は成り立ちます。
外交にも自利利他の精神が必要な時代かもしれません。   
合掌

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