真言宗の葬儀・お葬式とは

肉親との別れは悲しくつらいものです。
しかし諸行無常はお釈迦様の教えであり、人としていつか命尽きる事は免れません。

故に限りある命の尊さに思いをしたし、そして故人の恩愛に報い成仏を願うためにも心を込めて行う事が大切です。

真言宗の葬儀は導師が故人に仏弟子となるための戒を授け(受戒)、さらに仏さまとの絆を深め(灌頂)仏さまの世界へ到達していただくための厳粛な儀式です。他の僧侶は故人の回向のために読経を致します。
※地域やお寺によって葬儀の手順や準備は異なることがあります。菩提寺にお尋ねください。

真言宗の基本理念

  • 春に色とりどりの美しい姿を見せる香り豊かな花々
  • 夏の厳しい暑さの中その短い生涯を精一杯生き抜く蝉の姿

生きとし生けるものは大いなる仏さま(大日如来)のいのちからこの世に生まれ、やがて再び仏さまのいのちのもとへ静かに還っていきます。

何故、葬儀を行うのか?
葬儀を行い導師に引導を授けていたただくことにより、故人の御霊を諫め、遺族が安心を得ると共に生前中に故人がお世話になった人たちへの感謝を伝えるのが葬儀の大切な意義でもあります。

葬儀の前の心の準備

病院や介護施設などでお亡くなりになった場合、死後の措置が終わるとご遺体を移す必要が出てきます。
その前に決めておくべきことがあります。可能であれば故人様が生前中に確認をしておくことをお勧めいたします。

  • 故人の宗教、宗派、菩提寺などを確認しておく
  • どの様な形式の葬儀を行うのかを決めておく
  • 誰が喪主を務めるのかを決めておく
  • 遺言書等の有無を確認しておく
  • ご遺体の安置場所を決めておく
  • 葬儀を執り行う場所を決めておく
  • 危篤に際する連絡先を決めておく
  • 葬儀への参列をお願いする人を決めておく

葬儀・お葬式の流れ

ここからはご臨終の後の葬儀の準備についての流れです。仏事はお寺や地域によって異なることがあります。詳細は菩提寺にお尋ねする事をお勧めいたします。

葬儀の準備
①先ず、菩提寺への連絡
②親族への連絡
③葬儀社への依頼連絡
④役所への届け出、手続き(葬儀社が代行をする事が多いです)
⑤町内会や知人への連絡
遺体の安置
ご遺体を棺に納棺するまでの安置場所は仏間や座敷などです。「北枕」といって身体が南北になるように故人の頭を北に向けて寝かせるのが一般的ですが、この限りでなくても大丈夫です。ご遺体を安置したら「枕飾り」と呼ばれる荘厳を施します。
枕経
亡くなった故人の魂の安心救済のために枕辺で読経を致します。亡くなってから初七日忌までの本尊が不動明王とされます。不動明王を勧請(迎え入れ)し故人の成仏を祈ります。
納棺
納棺は身内や親族で行われることが多く、納棺の際には故人に持たせてあげたい品物を用意し棺に納めます。
通夜
ひと昔前までは葬儀の前夜に遺族や親族、親しい知人などに限って集まり、故人の成仏を一緒に祈っていました。近年では通夜にお参りをされる一般参列者の人数が多い傾向にあります。
葬儀
葬儀は、故人を心安らかに仏さまの浄土へと送る厳粛な儀式です。心静かに読経に耳を傾け、故人を偲び成仏を祈りましょう。
葬儀は命の大切さを改めて考える大切な時間でもあります。命の引継ぎを考える上でも親族(お孫さん)や知人などに弔辞などをお願いすると儀式の意義が高まります。
出棺(お別れ)
葬儀が終わると棺の蓋が開けられ、最後のお別れをします。祭壇に供えられていた花を一輪ずつ「別れ花」として親族や親交の深かった人達で棺に入れてあげましょう。この時に感謝の気持ちなどを手紙などにしたためてあげるのも良いでしょう。
挨拶
挨拶は会葬者へのお礼、生前へのご厚情に対する感謝の言葉や、故人の思い出闘病中などのいきさつや経過、残された遺族への厚情など心を込め簡潔に述べましょう。
挨拶が苦手な方は事前に礼文を用意しておきましょう。定型文ではなく故人の生き様などを会葬者に伝えてあげて下さい。
火葬(荼毘)収骨(お骨揚げ)
故人にとっては新しい生命への生まれ変わりとなる始まりの場でもあります。しっかりとお見送りをしましょう。収骨の準備が整うと火葬場の係り員が呼びにきます。係り員の指示に従って収骨を行って下さい。火葬後の葬儀当日に繰上げて初七日を行う時は事前に菩提寺にお願いをしておきましょう。